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けたろうさんのことがそれとなくわかるところ
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2008年11月。
期限まで1週間と迫ったところで免許の更新のため鮫洲へ行った僕は、鮫洲の地を30分程で立ち去った。足りなかったのである。視力が。
冷たく「出直して来い」と告げるおばちゃんを憎く思った次に僕の頭を埋め尽くしたのは、ある男の肖像であった。
僕が「メガネ野郎」と馬鹿にし続けてきた、あいつだ。
まさかあの男との比較でこれほど情けなさを感じる日が来ようとは。
驚愕だった。

帰りのその足で近所の眼鏡屋に立ち寄り、1週間後、銀縁の眼鏡を手に更新へ向かい、無事ゴールド免許を取得するが、僕はうちひしがれていた。
「メガネ野郎」になってしまった。
まさか、あの「メガネ野郎」と同じ、「メガネ野郎」になってしまうとは。
13年前から1週間前までの僕に言いたい。
自身が「メガネ野郎」にいつかなってしまう、その可能性を考慮することのかなわない想像力のなさを呪えと。
浅薄な罵りをやめ、今すぐもっと別の気が利いた罵りに切り替えろと。
眼鏡を掴んで床に叩きつけるなんて、愚かしい暴虐をやめろと。
彼は「メガネ野郎」なんだ、眼鏡が必要なんだと。
眼鏡をしてたって、いいじゃないか。

【眼鏡有】の称号を手に入れた僕は、そう思いながらメガネ野郎生活を始めた。


余談だが、「メガネ野郎」となってから初めて「元祖メガネ野郎」に会った時、初めて気付いたことがある。
「あ、こいつ、メガネしてねえ。コンタクトでやがる」
目から鱗のような衝撃が走った。
なんと、僕は彼が未だに眼鏡を着用しており、依然として「メガネ野郎」であると、思い続けていたのだった。
自分が後ろめたさを感じるようになって初めて訪れた正確な認識。
もし僕が「メガネ野郎」とならなければ、彼の遺骨を拾う日になっても僕は彼の白骨に眼鏡を見たのだろう。
そして罵るのだ。「先に死ぬとは愚かな奴め、このメガネ野郎」と。
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